年収の壁を乗り越えろ!!

介護を取り巻く三重苦!!

介護業界は財政の逼迫、介護職不足、制度の劣化という三重苦に苛まれています。
これらは全て進行性の成人病のようなもので、すぐに死に至る事はありませんが放置していると様々な合併症を発症しながら徐々に身体を蝕んでいきます。
介護保険は2000年に始まって22年、ここで生活習慣を改め治療を始めないと引き返すことができないところまで来ています。

社会保障費の圧迫

介護は年金、医療、福祉などとともに社会保障の一部であり、税金が投入されている以上、国の財政とは切っても切り離せないかんけいにあります。

上記のように社会保障費は年々伸びており、2022年には130兆円に達することが予想されています。社会保障費は個人の保険料:約32%、事業者の保険料:約28%、税金:約40%で賄われており、基本的に年々保険料は上がっていくことになります。
その中で介護事業費は10兆円程度で、毎年2,000億円程度増えています。ちなみに年金が60兆円程度、医療費が40兆円程度になっています。
財務省は介護費用に関して非常に厳しく締め付けに入っています。そのせいで、3年毎に改定される介護保険法の改正は改悪ばかりになっており、介護業界を疲弊させて行きます。
高齢者の数が増えているのだから費用が増えて当然でしょう。それを無理に抑制させようというから制度が疲弊せていくのです。介護現場の実情に合わせた予算設定をしてもらわねば、この業界は持ちません。

介護職は疲弊し、介護職不足は危機的!!

私は介護に携わって12年、デイサービスの経営者として10年、たくさんの介護職員たちとともに働き、たくさんの高齢者たちに幸せを提供してきました。(つもりです。)
しかし、幸せを提供し続けてきた、私達介護職員が今、疲弊しています。
命を預かる重労働を、月収25万円以下の安月給で、サービス残業や夜勤を強いられ、人間関係に悩みながら働いています。
介護が好きなのに結婚相手の親に反対され泣く泣く別の業界へと言ってしまった若者がいました。介護が好きなのに・・・こんなのおかしくないですか?
介護職員不足が叫ばれて久しいこの国では、わずか10年後には70万人の介護職員が不足するなどというデータも示されているのに国も自治体も何もやってくれません・・・
もう一度言います。介護職の平均月収は25万円程度です。こんな業界に若者が来てくれるでしょうか。いい加減、制度が間違っていることを認め、抜本的な改革を行わないと介護業界は潰れてしまいます。

介護職不足の現状についてはこちら

結婚できない介護職の話

デイサービスで私と一緒に働いてくれていた30代の同僚が、結婚を期に介護職を辞めたいと相談してきました。介護は好きだけど、相手の親にその収入では結婚を許せないと言われたそうです。介護が若者の結婚を許さないような仕事であってよいのであろうか。介護が好きな若者を見捨てるのか。この仕組を作りあげ改悪を続ける政治家に対する怒りで煮えたぎりました。この業界はこのままではそう遠くない時期に破滅する。それを止めなければと政治の世界に足を踏み入れる決意しました。
下記は私が介護業界、ひいてはこれから介護を受けるであろうすべての国民の未来を守るための成し遂げたい理念的な政策です。

規制の呪縛で失われる介護業界の競争力

介護事業は未だに自由な価格設定やサービス提供時間中の保険外ビジネス(混合介護)を認めていません。サービスの加算に付いても人員の配置と記録のみで算定されています。
そのせいで介護事業者は創意工夫を行わなくなり、最低限のサービスを行い紙の記録を残すことにエネルギーを消費しています。
また、規制に縛られることで、新規参入は制限されどんな事業者でもある程度の売上がたちます。このぬるま湯が競争力のない事象者を延命させ続け、業界の成長を阻んでいます。
本来、サービスの向上や新たな設備投資によって競争力をつけることで業界全体として切磋琢磨し合あうのが健全な業界です。このままではサービス業の一種として介護事業は立ち遅れた業界になってしまうでしょう。
いつの日か、高級ホテルなどの外国資本が介護業界に殴り込みをかけてきたときに、一気に日本の介護事業者が潰されてしまうかもしれません。
規制を緩和するところは緩和して、競争の中から介護事業所がしっかりとサービス業としての付加価値をつけるための環境を整備しなければなりません。

介護崩壊はもうすぐそこ!!

介護崩壊が起こってしまえば必要な介護が受けられず介護難民とかした高齢者障がい者が増え、その負担はご家族や地域にも及びます。
しかし、介護崩壊はすぐそこに迫っているのに、行政はやってる感を出すための政策しか打ち出せずにいます。

介護崩壊が起こってしまったら

また、今現在の介護保険はなんとか回っているように見えますが、このまま10年もすれば下記のようなそれは恐ろしい介護崩壊が起こってしまいます。
世の中の介護は家族がやるか、超高額費用を払うかの2択になってしまいます。

上記のようことはこのままではほぼ間違いなく訪れるといわれている介護の未来です。
もうすでにその兆候は始まっています。例えば要介護3から入れるはずの特養は要介護5であっても簡単に入れる状況ではありません。それは人不足でベッドを開けることのできない施設が多数存在するからです。
介護サービスを利用することができなくなった高齢者の面倒を見るのは家族となり、老々介護による事故や介護離職がますます進みます。
また、障害福祉施設はさらに悲惨で施設の維持はほぼ不可能で、保育所も閉鎖せざるを得ないところがかなり出てくることになります。
認知症に対応する施設や支援ヘルパーが減ってしまい、見た目にはわからない認知症の高齢者が増えて街が混乱するかもしれません。
こんな未来はすぐそこに迫っています。

介護崩壊は突然に!

私同じ40代の方々に介護崩壊の話をしても自分にはまだ関係ないといった反応が多いのですが、介護をより身近に感じるのはそう遠くない未来です。
我々40代の両親はもう70代に突入しており、今の70代がいかに元気でも10年もすれば介護が必要になることでしょう。そして30年もすれば我々が介護を受ける時代になるのです。これを他人事や対岸の火事だと考えていてはいけません。
制度を変えるには時間がかかります。ましてや社会保障を含めた超巨大な仕組みの歯車に一つである介護に変革を起こすことは並大抵の労力や時間では不可能です。
みなさん、気づいてくださいこの危機的状況に。そして、少しでも声を上げてほしいのです。

ご家族の介護負担は社会問題へと

介護崩壊が起こると困るのは高齢者や障がい者だけではありません。そのご家族に大きな介護負担がのしかかっていきます。施設に入るには多額の費用がかかるため誰もが入所できわけではありません。
素人のご家族が介護を続けることで平穏な生活は脅かされ、大きな社会問題となっていきます。

ヤングケアラー

家族の介護を行うために学校に通うことができなかったり、友達と遊ぶ時間が削られるような子供のことをいいます。ヤングケアラーは家庭内に潜み見つかりにくいことが指摘されています。
また、本人が自身の問題点に気づきにくいことも問題化しにくい理由だと言われています。

ビジネスケアラー・介護離職

仕事をしながら家族の介護を続けている方も増えています。と言うより当たり前になりつつあります。
同居していればまだいいですが、別居家族の介護を仕事をしながら行うのは大変です。
手が足りずに会社を退職したり、パートに転職しなければならない方も増えており、介護離職として大きな問題となっています。

ダブルケア

近年では晩婚化の影響もあって子育てと親の介護を同時に行っている主婦が増えています。
子育てと高齢者介護は全く別物で、同時に行うことは大きな体力的、精神的負担になります。

認知症介護

認知症患者は700万人を超えたと言われれ、予防が必要な人を含めると裕に1,000万人を超えており家族の負担や地域の負担が大きくなっています。
認知症患者の症状は多岐にわたり一概に対処できるものではありません。負担のかかるケースではご家族の生活を一変させてしまうほどの影響があります。
認知症は早めの予防、早めの診断、早めの治療が重要です。

無策な行政

介護業界は危機的状態であるにも関わらず、行政は問題を先送りにして抜本的な改革を打ち出せていません。
正直やっているポーズだけの解決策には辟易とします。例えば技能実習生を代表とする外国人の在留資格による介護職への登用制度ですが16万人の外国人を介護業界に定着させることを目標にしていますが、現状1万人程度にとどまっており、介護職不足を解決できていません。
また、介護職の賃金をあげるための処遇改善加算に関しても全産業の平均と比べて200万円低いと言われているのに月9,000円の改善しか打ち出せない政府にはがっかりです。しかも、これに関しては、生活相談員やリハビリ職に関しては対象外とされており、実質の効果は遥かに低いと思われます。※処遇改善加算の問題点についてはこちら
このように、現在の行政から介護業界をどうにかしなくてはという意思は感じられません。無策を取り繕うための統計データづくりに精を出しているように思ってしまいます。
※統計データの疑問については別の記事で

坂元ゆうきの描く介護の未来

これから起こる介護崩壊は社会をも壊しかねない大問題です。介護業界を充実化させることで世の中は多くの恩恵を受けることができるはずです。
そのためには介護業界で働きたいと思える若者を増やさなければならないと考えています。
そのためにはやりがいや給料を増やさなければなりません。そして給料を増やすためには施設がある程度利益を確保できなければなりません。
介護業界を充実化させる道はそんな簡単な道のりではありません。

若者たちが集まる業界へ

介護業界に若者が憧れやりがいを感じ、介護業界に就職したいと思わせるような政策を打ち出していきます。
介護市場はこれから20年以上伸びていくことが約束された数少ない市場です。その介護業界が若者の支持を集めていられないのはおかしな話です。
また、若い力は高齢者にとっても活力となり、逆に若者は高齢者の経験や知恵を借りて成長することができます。
また、私はまさに就職氷河期世代と呼ばれる時代に就職を経験し、苦労もしてきました。未だに非正規で不安定な仕事をしている同世代たちにも介護業界にどんどん入ってきてもらいたいと思っており、政策化していきたいと考えています。

政策例

・収入を公務員並みに
・ブラック企業をなくし、働きやすい環境を整える
・氷河期世代の積極採用
・施設が発信を行い透明性のある業界に

介護職の収入をあげるには

自主自立、利益を出せる業界に

介護保険事業は公定価格(介護給付費)によってサービスの内容と単価を決められている事業です。
その単価は低く、3年に1度しか改定が行われないこの制度では感染症対策への費用増、継続的な物価高に対応できていません。
例えば訪問介護の報酬が1時間で1,700円程度にしかならないように、とてつもない低価格で固定されいます。
介護事業者が安定して収益をあげる体制を整えないと会社は新たな投資を行うことができずに、競争力は低下しますし、従業員の給与をあげることもできません。

また、保険外のビジネスをやろとすると行政から規制をかけらることがしばしばあります。
せめて、介護事業所が自らの経営努力で利益を挙げられる仕組みを提供しなければなりません。
介護業界にイノベーションなんていう言葉を使っている人も新進気鋭の優秀な経営者が参入してくることもありません。
しかし、ちょっと考えて見てください。日本の現金貯蓄は1500兆円と言われ、その殆どを高齢者が持っている中、介護業界が高齢者の欲するサービスを提供しなくてどうするのでしょうか。
特にこれから団塊の世代が要介護者となってくる中、イノベーションを起こすような介護事業者が現れ、とてつもない利益をあげるようなことになることを想像しています。
そのためにも、下記のような制度を整備しておく必要があります。

政策例

・介護給費の適正化
・保険外事業の規制緩和
・高付加価値を提供するサービス事業者への投資

介護から世の中を盛り上げる循環を

今、閉塞的な環境の中、介護業界が日本を盛り上げる火付け役になることが私の夢です。
介護と聞くと世間目を避け、暗いイメージがあるかもしれません。
しかし、介護業界はこれから30年以上伸び続けることが約束されている数少ない業界です。そんな業界が小さく縮こまっていては勿体ありません。
周りの人や物を巻き込んで、全てを幸せにしながら成長していくような業界となれはしないでしょうか。
私は介護の関わった、高齢者、そのご家族、介護職員、介護事業所、地域の人々、行政全てが幸せになっていくようなシステムを作ることはできないでしょうか。
全体を同時に幸せにするシステム設計が難しくても、一対一で関係者を幸せにすることは我々にも出来るはずです。介護職が幸せにするのべきなのは要介護者だけではありません。
周りに関係する全てを幸せにすることで介護用業界に返ってくるものなのではないかと考えています。

介護が盛り上がるとこれだけ良いことが!

介護職員の政治参加を促す

介護業界は医師会のように強固な団体を持っていません。それぞれが政治について問題意識を持っていてもそれを議論し、まとめ上げる環境になってないのです。
介護職は皆賢い者たちが多いです。そして、高齢者の生活について熟ししており介護業界の問題点も熟ししています。彼らに政治的な知識を与え、関心を持たせることで介護保険行政を自らのものとして感じてもらいたいのです。
まずは施設の中でこの書類はなんのために作っているのだろう、とかなんで介護度が低くなると単価が下がってしまうのだろう、と言った疑問を話し合うところから始めてもらいたいです。

特にこれからの若者には自分たちの力で介護をより良いものに変えていけるという希望を持ってもらえると嬉しいです。
ですから、私は介護業界から政治を志す若者の援助も行っていきたいと考えています。

介護職の政治参加を促す

・介護業界がまとまって政治団体を作る
・介護職が学ぶための勉強会を開催する
職業別クオータ(割当)制度の導入