介護福祉保育に共通するのは何らかのハンデを持った人の生活を援助するということです。生活とは24時間あらゆる行動を内包し、そのすべてに何らかの問題を抱えている方の補助を行います。
ケアワークとは24時間必要な仕事なのです。
保育園11時間営業の問題
しかし、現在人間が適正に働ける時間は1日8時間であり(とされ)、ほとんどのケア事業所も8時間労働を定時としています。
24時間ケアが必要な人を8時間の定時の職員が面倒を見るという現実との間で現場で歪みが生じています。
例えば保育園の保育時間はだいたい朝7時半から18時半となっています。これはお父さんお母さんの要望、社会的需要から仕方なく設定されている営業時間だと思います。
この11時間という中途半端な営業時間をどう埋めるのかというと、残業に頼らざるを得ないのが現状です。
当然経営に余裕があれば人不足の中、早朝や夕方専門に高いお金を払ってパートを雇うこともできますが、どの事業所もそうとはいきません。
仕事を持つ親御さんにとってはこのくらいは見てもらえないと仕事を続けられないというのもわかります。それならば、割高なパート職員を雇用できるだけの売上を上げられるような行政の補助が必要でしょう。公定価格である売上が圧倒的に足りないのです。
行政はあたかも「8時間の常勤従業員だけで11時間面倒見ろ。余計な時間は現場でなんとかしろ」といっているかのようです。
デイサービス最低3時間滞在問題
デイサービスでも保育と同様の時間帯の問題があります。デイサービスの利用者は最低3時間施設にいなくてはならないというルールがあります。
これが、従業員の無駄な残業につながっています。午前と午後で利用者を入れ替える2部制のデイサービスでは3時間滞在させようとすると、どうしても定時を超えた業務が必要になってしまいます。これを2時間半にするだけで多くの介護職員が定時で仕事を終えられるのです。
現代のデイサービスに求められているのはただ預かればいいだけではなく、リハビリや入浴、食事などのサービスであるはずです。時間で縛るのなんて時代遅れもいいところです。
残業代を出さない行政の闇
残業代を考慮していない公定価格では、ケア事業者はどんどん疲弊していきます。それがサービス残業などにつながっている可能性もあります。
厚生労働省は残業を考慮した公定価格設定を行うか残業の必要のない業務設計を行う必要があります。「現場でなんとかなるだろう」という投げやりな政策は改める必要があります。
現場は疲弊し、ケアワークを離れる人が増えているのはこういった制度的な問題が非常に大きいのです。