インフレをどのように見るか

物価上昇率に目標を設定する政策であるインフレターゲットという言葉はだいぶ浸透してきました。
物価の上昇は大枠で「原材料価格の高騰」「需要の増加(貨幣量の増加)」の2つが原因となります。このうち望ましい物価の上昇は 「需要の増加(貨幣量の増加)」 によるものです。
ものの価格は 物価=原材料費+人件費等+利益 と分解することができます。

先の「原材料価格の高騰による物価上昇」は物価が上がってもその分原材料費が吸収してしまうので、その他の数値は上がりません。唯一原材料を扱う事業者に利益が上乗せされる可能性がありますが、今般の原油価格や小麦などの輸入品である場合、国内にいいことはまるでありません
一方原材料費を増やさずにものの価格を挙げられる 「需要の増加(貨幣量の増加)」 による物価上昇では、人件費や会社の利益が増えることになります。
単純な計算ですが、物の価格が増えれば給料が上がると言えるのです。

一方、生活を支える家計側から見れば物価が上がると暮らしにかかる費用が増加します。この増加量以上に給料が増えなければ物価を上げる意味がないのです。

見出し

物価はあげなければいけないが、それは「 需要の増加(貨幣量の増加) 」によるものでなければいけない。また、それ以上に給料が上がらなければ意味がない。

チンフレターゲット

私が勧める経済政策の一つとして、賃金インフレ(チンフレ)ターゲットの設定があります。物価上昇率に目標を設定するように賃金上昇率にも目標を設定しようというものです。
当然、現政権でも賃金上昇率について言及することがありますが、キャッチーなフレーズをつけることで国民の間でも意識が高まることを望んでします。
意識が、言葉となり会社や社会を動かしていく力が生まれるからです。

現在の日本では売上が上がっても株主への配当や内部留保が増える一方、給料が上がらないのは会社員からの圧力が足りないからだと思います。
物言う株主が台頭することでこの20数年間、株主配当は右肩上がりであることが証拠です。

政府として、自治体として賃金インフレターゲットを設定し企業や株主との合意を取り付けることで給料を上げやすい環境が整うのではないかと考えています。
物価目標を2%としていますので、賃金インフレ率は5%くらいをの目標にすえるべきです。

そして安定的な物価上昇と賃金上昇を続けることで労働者としての勤労意欲や消費者として消費意欲が生まれてくるのだと思います。