現在の高齢者の状況

要介護、要支援者の認定者数は690万人でうち、男性が219万人、女性が471万人となっています。
日本全体の人口が1億2,600万人で、65歳以上の人口が3640万人ほどですから、日本の高齢化率は29%となり、高齢者のうち20%弱が要介護認定を受けていることになります。
都道府県別の高齢化率は1位の秋田県で37%、47位の沖縄県で22.2%とかなり開きがあります。東京都は46位で23.1%となっています。(令和2年高齢者白書参照)

2025年以降に団塊の世代と呼ばれる1,000万人が、2040には団塊ジュニア世代の1,000万人が75歳以上になるということで、大きな構造的変化が起こると言われており、各々2025年問題、2040年問題と呼ばれています。

介護職不足のこれから

2019年度の介護職員数は211万人で要介護者数3,588万人に対して28.4%となります。つまり、要介護者10人に対して、2.84人の介護職が必要であるということのなります。(厚生労働省の言い分)
この割合を2025年と2040年に当てはめると下記のような数値が割り出されます。

高齢者人口高齢者の割合必要な介護職員数不足数
2019年3588万人28.4%211万人
2025年3677万人30.0%243万人32万人
2040年3921万人35.3%280万人69万人

これがいわゆる2040年には70万人の介護職が足りなくなるという根拠です。
この数字はかなりセンセーショナルで、様々な学会や政治の場でも言及されたので聞き覚えのある方多いかもしれません。

第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について 厚生労働省

しかしながら・・・これって、希望的観測ですよね・・・厚労省さん?

希望的観測である根拠

①そもそも介護職の定義

2019年の介護職が211万人という統計ですが、おそらく都道府県が管理している各事業所の人員配置数が使われていると思われます。介護保険法の人員配置で定義される介護職には管理者、生活相談員、サービス提供責任者、機能訓練指導員、送迎ドライバーなどなどが含まれていません。
つまり、実際に介護に従事している人の数は圧倒的に多いのです。正確な統計が存在しませんが、介護従事者総数は500万人を超えると言われています。
介護事業所が生活相談員やリハビリ職なしで運営できますか?

②2019年現在で介護職は足りているのか

答えはNOです。圧倒的にNOです。おそらく、すでに30万人くらい足りていないんじゃないかと思います。介護職員の有効吸引倍率は全国で6倍を超えており、都心部の訪問介護員なんかは50倍を超えているなどと言われています。
夜勤のある施設系のほぼ全ての事業所で介護職員が足りておらず、ベッドはあるのに利用者を受け入れられていないという問題も怒っています。

③外国人は日本に来るか

現在介護関連の在留資格制度によって、1万人弱の外国人が介護職として働いています。将来的には16万人の採用を見込んでいます。しかし、コロナ禍もあるのでしょうが、全然計画通りに行っていません。
この円安で賃金が上がらない日本に外国人が薄給の介護業界で働きたいと思ってくれるでしょうか。
これも圧倒的にNOだと思います。

④今いる介護職はやめていかないか

現在介護職に離職が進んでいます。コロナ禍が空け、飲食店が採用を活発化させておりそれにともなって給与が上がっています。また、これから旅行産業なども活況を呈する可能性が高いです。そういった中で給料をあげられない介護職がそういった業界に流れない訳ありません。
上記の統計は介護職に大量離職が怒らない前提で作られています。しかし、介護業界が給料をあげられず、今のような待遇が続けば大量の離職が起こる可能性は高いと言わざるを得ません。

上記の通り、厚生労働省が試算している2040年に70万人の介護職が足りなくなるという試算は間違いです。
このままの介護業界であれば、120万人を超える介護職が足りなくなると私は考えています。

目黒区はどうなの?

さて最後に、我が目黒区の介護職不足はどうなのか、についても語りたいと思います。
目黒区の人口は28万人で、65歳以上の高齢者数は5.5万人で高齢者率は20%程度です。
要介護者数は1.2万人です。
先程の数字を目黒区に当てはめると2800人くらいの介護職が足りなくなる可能性があります。
目黒区内の介護従事者数は1万人程度ですから、必要数の4分の1しか介護職がいないことになります。
4人必要な施設に3人しか介護職がいなければほとんどの現場は事故だらけになり、まともに運営ができないでしょう。そんな未来が見えてしまいます。