力による現状変更を許さない」と言う言葉が頻繁に聞かれるようになったのは最近のことのように思います。
このスローガンをもとに世界的安全保障の枠組みが作られつつありますが、現在それが完全に機能するとは言い難い状況です。
先般のロシアによるウクライナ進行や中国による台湾、尖閣諸島への圧力など未だに武力を後ろ盾にした動きはやみません。

真に「力による現状変更を許さない」世界とは「力による現状変更が、国家の責任者にとってどんなことをしても損になる」世界を実現するということです。

国家の責任者と強調したのは、戦争に踏み切りやすいのは選挙などを考える必要のない独裁国家の元首であるからです。国民が損をするとしても戦争を決断するものが損をしなければ意味がありません。
また、どんなことをしてもというのは、武力侵攻を始めた国には、武力による攻撃(脅し)をしてでも損をさせなければならないということです。
最悪、国が壊滅させられるのではないかというプレッシャーがあれば誰も戦争には踏み切れないでしょう。

私はこの戦争したら必ず損をする状況を作るのはそう簡単ではないと思っています。国連などの国際機関はそれほど成熟していないですし、損をさせる方法で有効なのは武力のみで経済制裁などがどれほど意味を持つかは不鮮明です。
より国際社会がまとまって戦争への動きに対する強力な制裁方法を作り出す必要があります。

いずれにしろ戦争のない世界を作るにはまだまだ人類の英知や科学技術は稚拙です。外交安全保障には人、お金、時間を掛けて対応しなければならないと考えています。